残薬が生まれる背景・課題・解決策とは

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残薬セミナーを開催しました

2023年8月7日(月)、残薬セミナーを博多市内の会議室とzoomのハイブリッドで開催し、トータル約100名の方々にご参加いただきました。「残薬が生まれる背景・課題・解決策とは」をテーマに島添隆雄先生(九州大学大学院 薬学研究院 臨床育薬学分野准教授)をお招きしご講演いただきました。

残薬とは病院等からもらい、飲み忘れ等によりご自宅に残ってしまった薬のことです。病に苦しむ患者さんに少しでも健やかな日々を過ごしていただきたいと考え、私たちは日々の業務に邁進していますが、一方で残薬が生じている現実もあります。そこにはどのような背景や課題、解決策があるのかを学ぶために、薬粧連合のSDGs の取り組みの一環として企画したセミナーです。

ご講演では、自宅に余っている薬剤を節約バッグに入れて患者さんに医療機関に持参いただき、それを踏まえて処方量を調整することで、残薬を少なくする取り組み(節約バッグ運動)や医療用麻薬の廃棄に関する研究についてもご講演いただきました。節約バックの取り組みでは福岡市内の薬局でのトライアルの結果、残薬調整により約70万円の薬剤費を削減することができ、この結果を全国レベルに換算すると年間削減可能額は約3,300億円に相当するという非常にインパクトのあるお話でした。

その後の質疑応答では参加者から「残薬対策で製薬企業に期待することは?」「小包装化した方が薬剤廃棄金額が低くなる可能性があるとのことだが、製造する医薬品が小包装に偏り過ぎると、逆に配送頻度が増えてCO2の排出が増えてしまうのでは?」など様々な質問をいただき、島添先生からはご自身のお考えを丁寧にお伝えいただきました。あるSDGsを達成するために取り組む打ち手が、別のSDGsの達成を阻害する要因になることもあります。SDSs達成に向けては俯瞰的、複合的、相互的な視点が欠かせないことに改めて気づくことができました。

薬粧連合活動をSDGsの文脈で整理すると様々なSDGsが深くかかわっていることが分かります。SDGsの達成やSDGsの自分ゴト化に向けて、引き続き様々な活動に取り組んで参ります。