誇りを持って働く現場、見えない産業の未来
第3回 組合員意識調査
調査概要
調査の目的
日頃の労働組合活動や職場・組合員の就業意識を把握し、今後の薬粧連合と各加盟組織の具体的な活動に活かすことを目的として実施した。
※今回の調査は、2019年、2022年に引き続き3回目の実施となった。
調査の方法
Webアンケート調査
調査は医薬化粧品産業労働組合連合会に加盟する労働組合の組合員 36,173名を対象に実施した。有効回答件数16,306件、有効回答率45.1%。
調査結果の要点
本調査を通じ、医薬化粧品産業で働く組合員の多くが、日々の仕事に働きがいや誇りを感じている実態が明らかになった。
職場における人間関係や業務の進め方、労使の対話環境など、働く基盤に関わる項目についても肯定的な回答の割合が高く、良好と言える水準になっていることが確認された。
これらは、各社、各現場の日々の努力に加え、労使が協力して職場環境の改善に取り組んできた結果であり、医薬化粧品産業が社会を支える基幹産業として、一定の安定性と成熟度を有していることを示していると捉えられる。
一方で、本調査においては、医薬化粧品産業の将来、ひいては自分自身の将来について、明るい見通しを持てていない層が少なくないという現実も浮き彫りにした。
働きがいを感じ、誇りをもって働いているにもかかわらず、その担い手自身が産業の将来像や自分の将来を描ききれていないという構造は、大きな課題として認識される。
注目すべき回答傾向
■ 労働組合活動
労働組合活動において、労働組合の執行部と組合員との間におけるリレーションシップの構築は活動推進の根幹に大きな影響を及ぼす。
執行部の傾聴の姿勢や取り組みに対する積極性の実感は、引き続き肯定的回答の割合が上昇しており、各加盟組織における活動の充実が示されている。
Q1.労働組合は、組合員一人ひとりの声に耳を傾けていると思いますか

Q4.労働組合は、より良い職場環境の構築に向けて積極的に取り組んでいると思いますか
労働組合活動は情意的に評価されるだけでなく、成果面も評価されなければならない。
会社への要求・交渉に対し、「期待を上回る活動である」や「おおよそ期待通りに活動している」といった回答が増加している点は、各加盟組織における活動の充実と組合員に実感されるような成果を出すことができていることを表している。
Q15. 労働組合の会社への要求や交渉について、どのように感じていますか。率直なご意見を教えてください

注1:実際の選択肢は「5. 判断できない(要求内容を知らない・組合活動に興味がない・組合が要求等を行っていないを含む)」
■ 誰もが自分らしく安心して働ける職場・社会の実現
薬粧連合では、春の取り組みに限らず、継続的に組合員の誰もが自分らしく安心して働ける職場・社会の実現に向けて活動を行っている。
「多様性の推進」、「柔軟な働き方の実現」、「健やかな働き方の実現」に関連する、『Q23. あなたの職場には、様々な背景(*1)の違いを互いに認め、気兼ねなく意見を伝え合い、助け合う風土はありますか。』は、前回に引き続き肯定的な回答の割合が高く、加盟組織各社における風土醸成の積み重ねが、産業全体の風土醸成に繋がっていると捉えられる。
*1 性別や国籍、信条や宗教等の属性の違い、会社の立場、家庭の事情等の環境の違い、一人ひとり異なる個人としての考え方等
Q23. あなたの職場には、様々な背景(性別や国籍、信条や宗教等の属性の違い、会社の立場、家庭の事情等の環境の違い、一人ひとり異なる個人としての考え方等)の違いを互いに認め、気兼ねなく意見を伝え合い、助け合う風土はありますか。
■ 仕事のやりがい
『Q37. あなたは、自分自身の仕事に誇りをもっていますか』では、回答者全体の71.9%が肯定的(*2)に回答している。
また、『Q29. あなたは、やりがいを持って仕事に取り組んでいますか』の肯定的回答の割合は64.9%となっている。
これらの結果から、多くの組合員が自身の仕事に誇りを持ち、一定のやりがいを感じながら働いていることが確認された。
*2 「1. とてもそう思う」と「2. そう思う」の割合の合算値
Q29. 「仕事のやりがい」×Q37. 「仕事への誇り」
薬粧連合では、組合員の「自律的なキャリア形成」を重要な取り組みテーマとして認識している。このテーマへの取り組みを検討するため、本調査では
『Q28. あなたは、自分自身の将来を明るく感じていますか』
『Q34. あなたは、自分自身の望ましいキャリアや仕事を実現できると思いますか』
と『Q29. あなたは、やりがいを持って仕事に取り組んでいますか』との関係性を分析した。
その結果を図示したものが、以下の2つのクロス集計である。
Q29. 「仕事のやりがい」×Q28. 「将来の明るさ」
Q29. 「仕事のやりがい」×Q34. 「キャリア実現の実感」

これらの図は 因果関係を直接示すものではないものの、
自分の将来に対する見通しや、望ましいキャリアの実現可能性を高く感じている層ほど、仕事のやりがいも高い傾向が見られることを示している。
このことから、組合員が仕事のやりがいを持ち続けるためには、
将来の見通しやキャリア形成への実感を高めることが重要な要素となる可能性が示唆される。
■ 将来に対する不安
前述の通り、仕事のやりがいと関係性が見受けられた自分の将来を明るく感じるかについては、残念ながら良好とは言い難い結果となっている。
Q28.あなたは、自分自身の将来を明るく感じているか
また、自分の従事している医薬品産業の将来に対しても明るさを感じている層は少ない。
Q50.医薬品産業の将来は明るいと思いますか

Q51.これからの医薬品産業の発展に向け、何が必要だと思いますか。

化粧品産業の将来には明るさを感じている層が増加しつつあるものの、依然として半数を下回る結果となっている。
Q52. 化粧品産業の将来は明るいと思いますか

Q53. これからの化粧品産業の発展に向け、何が必要だと思いますか。

今後に向けて
本調査は、労働組合の活動を基盤に、組合員の働きがいや職場環境、処遇といった点において、医薬化粧品産業の現場が一定の安定性と健全性を維持していることを示している。多くの組合員が、自らの仕事に誇りを持ち、やりがいを感じながら働いている実態が確認された。
一方で、その担い手である組合員自身が、産業の将来に十分な明るさを見いだせていない状況が、過去7年にわたり解消されていないことも明らかとなった。
こうした背景には、医薬化粧品産業を取り巻く経営環境の不確実性があると考えられる。特に、毎年の薬価改定などにより企業経営の予見性が確保しにくい状況が続く中で、早期退職の実施や賃金上昇の難しさなど、現場の将来不安につながる要因が生じている可能性がある。
働く人々の誇りと努力を一過性のものに終わらせず、将来につながる産業として発展させていくためには、個々の企業努力だけでなく、産業全体の持続可能性を支える政策的な後押しが不可欠である。
薬粧連合としては、持続的な新薬・新製品の創出、安定供給、研究開発力の維持・強化、人材育成といった観点を踏まえ、現場の実態に立脚した産業政策の充実を社会に訴え、今後も取り組みを進めていく。
「現場は誇りを持って働いている。しかし、産業の将来には不安が残っている。」
このギャップを解消することが、これからの医薬化粧品産業政策に求められている。
以上
